COLUMN

日本山岳耐久レース(ハセツネカップ)に参加して 前編 form熊本本店

日本山岳耐久レース(ハセツネカップ)に参加してきました

こんにちは、熊本本店の志武喜です。
10月10日は皆様にとってどんな日でしたでしょうか。私どもシェルパにとっては、とても大切な誕生日「創業記念日」です。
創業者であり、私の両親でもある現会長夫妻にとっては、自分たちの人生を賭けた何よりも思い入れのある10月10日です。
会社を興したことのない私ですが、シェルパ福岡店の新規立ち上げ時には、妻とゼロからの出発に「その日に賭ける想い」というものをとても大きく感じた記憶があります。

10月10日、ハセツネカップに参戦した私は、それだけ大切な一日にチャレンジをさせていただいた事に、社員全員に感謝してもしきれないほどの感謝の気持ちを持ち、熊本を出発してまいりました。

日本山岳耐久レース(通称:ハセツネカップ)とは

東京の奥多摩で開催される「日本山岳耐久レース(通称ハセツネカップ)」は、昨今、特に注目されているトレイルランニング(トレラン)大会の一つですが、これは東京都山岳連盟が主催する、今年で24回目を迎える由緒ある大会です。
奥多摩の山中をぐるっと1周駆け抜ける内容は、後に世界へ羽ばたくトレイルランナーの登竜門と言って過言ではないような大人気のプレミア大会となっています。

ハセツネとは、実績を書けばキリがないほどの世界的なクライマーである長谷川恒男さんの業績を称え、大会の省庁としてネーミングされたそうです。自己の限界への挑戦と鍛錬がこの大会の基盤らしいです。

距離は71.5km、制限時間は10月9日13時~翌10日午後13時までの24時間。
通常行われるマラソン大会のように、途中にエイド(水分や食料をふるまう場所)もなく、他人からの手助けを受けることを禁止されている自己完結型の大会です。
唯一、第二関門である42km地点にて、水もしくはポカリスウェットを1.5Lのみ受けることが出来るのですが、それを含めて自分自身の体力や食料・水分量や体調などをマネジメントする必要があります。

なお、申込書には妻の連絡先まで書き、会場受付では山岳保険加入の提示が義務付けられています。


今回、身の丈以上の大会に参加するプレッシャーからか、1週間前には風邪をひいてしまい、参加するか最後まで迷っていましたが、「とりあえず行ってみて、雰囲気だけでも見ては」と後押しをもらい、現地へ。
大会当日は、会場へ向かう電車のほとんどの乗客は屈強な肉体と精神んを併せ持ち、大運動会へ向けてワクワクと目がぎらついている猛者ばかりに見え、自分自身へのプレッシャーは最高潮でブルブルです。
それでも、駅から会場っまでの道のり、受付までの雰囲気によって「よし、やれryところまでやろう!」と開き直りのスイッチがようやくONに。着替えを済ませ、各メーカーの出展ブースに挨拶を行って、開会式。
緊張とワクワクのスタートラインにようやく並び、午後1時にスタートの号砲!

長い旅路のはじまりです。

スタートから第一関門へ

五日市中学校…今熊神社…入山峠…市道山…醍醐丸…生藤山…浅間峠 22.66km地点


「よしやるぞ!」と駆け出したのも一瞬で、15分くらいで山に入ると恒例の大渋滞。30分ほどは2,3歩進んでは止まりの繰り返し。ようやく進みだしても、また立ち止まるといった繰り返しが1時間ほど続き、何となく流れ出したのは出発してから2時間近く経ってからでした。フラットや下りは出来るだけ流れに従いながら小走りで進み、登りは負担が少ないように歩き、雨上がりの蒸し暑い環境には給水の意識を持ち進みます。
※後日談では、今回は大変蒸し暑く、飲み水が枯渇してリタイアされた方が多かったそうです。

それでも次から次に訪れる壁(登り坂)には心が何度も折れかけました。
夕方5時からはヘッドランプを2個準備。1つはウェスト、1つはおでこに装着。
霧が発生した今回は、頭に装着したライトが霧に反射して思うように見えず、ウェストのライトのみで活動を継続します。
登り終わったらまた登りの繰り返しにウンザリしだして、
「第一関門22km地点まで行ったらリタイアしよう」
「理由は?」などキツイよりも心が弱くなっていました。

しかし、前後を行く参加者に色々と話を聞くと、
「第一関門はリタイアしても自力下山しないといけないからきついよ。やめるならば第二関門のほうが、バスは迎えに来てくれるし、しかもきつい区間は今まででこれから先はストックも使えるからもはやパラダイスだよ!(笑)」
「それにこのペースであれば完走は経験上大丈夫だよ!」
との言葉が。

「そうか、今までのほうがきついのか。じゃあ第二を目標にするか。」と意識が変革。
まさに言葉は魔法であります。

第一関門に到着するころには呼吸も体力も整い気持ちが前に向いており第一関門に到着した時刻は、出発から約7時間経過していました。

第一関門から第二関門まで

浅間峠…土俵岳…笛吹峠…西原峠…大沢山…三頭山…鞘口峠…月夜見山第2駐車場 42.09km地点


ここのチェックポイントでは、「水がなくなったのでリタイアします」とか「体調が思わしくないので」など私がいた30分の間に数名の方がリタイアを選択していました。私も回収バスが上がってくる所だったらリタイアしていたのかな?なんて考えていたのでしょうがすでに行動は寒さに備えてインナーウェアの調節など次に向けて準備中です。
ここからはトレッキングポールを使えるという私にとっては大きなアドバンテージも得ます。
地図を見るとこれからの区間もずっと登りが続き、コース上最高峰の三頭山を越えて月夜見の第二関門までタフな約20kmですが、誰かが教えてくれた根拠のない“パラダイス”という言葉を信じ歩み続けました。
さすがにちょっとの登りならばポールを手にした事で4WDの車で登るような感じ。今までのところから考えるとだいぶ楽に感じます。実際に登りなどは走れる体力がないため息を整えながらペースを崩さず比較的順調に進んでいました。

笛吹峠にてボランティアスタッフに先頭の様子を聞くと、「すでにゴールしていますよ」。
私は27km地点、先頭はすでにゴール。本当に信じられません。

そしてこの頃から少しずつ異変を感じていました。
更に進んで西原峠から避難小屋を越えて三頭山までが激登り約4km続きます。そして体の異変がついに現れだしました。「睡魔」。この区間は「眠い、でも前に進まなきゃ!」の繰り返しで一歩ずつ千鳥足のような状態でした。
立木に寄りかかり目を閉じて秒単位で体を休めては歩みを続けます。肉体は明らかに疲労が隠せず、夜の寒さを強く感じだして次第に心がやられだしていました。「だいぶ頑張ったよな。第二は車が来るよな。とにかく眠いな」
既にゴールが第二関門に固まり、歩いては立ち止まり数秒目を閉じる。この繰り返しを1時間ほど繰り返したでしょうか。
すると「もう山頂ですよ~!」「お疲れさま~!」という大きな元気の良い大会スタッフの方々の声に今までの眠気が嘘のように吹っ飛んでいました。「やったー!」声こそ小さかったですが喜び大爆発。今まで第二で辞めるつもりだった思考が一瞬で逆転。根拠のない「これで完走できる!」と急にエネルギーが湧きあがり下りはテンションが高く走って下山しています。

第二関門に到着したのは、出発から13時間30分が経過した2日目の午前2時30分でした。


次回へ続く

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